大地と共に
Gallery AMI&KANOKO では、Luiz Ferraz の日本での初個展を開催致します。Luiz Ferraz は、1942年ブラジル生まれ。後年、フランスに移住。現在は、フランスを拠点に活動しています。
今展では、新作の絵画を6点と、紙の作品も合わせて展示いたします。
大西洋側のロシェルの近くにあるオレロン島に海の家を持ち、その海岸に流れ着く金具や流木を拾って画布に貼り付けて作品を制作。
作家の故郷であるブラジルのアマゾンの森の縮小や、山火事に関心を寄せ、自然と大地を主にテーマにしています
大地と共に
Fernand Fournier (訳:中山 真由美)
聖書に導かれフェラーズは、国境など意に介さず、豊かさと美を求め母国ブラジルを離れた。そして、彼は、作家として詩人として旅人として、絵画に身を捧げることを決めた。
地平線が見えるくらい続く渇いた大地、平坦な丘が続く巡礼中、彼は、大地がまるで歌っているように感じる。陽気な太陽の下で、大地は色彩に溢れ、肉体のように震え、壮麗であり、時には乾き、時には湿っている。一方、都会の土地は痩せ、呼吸を禁じられ、まるで敗北者のようだ。
人は、物理的にある特定の土地に存在するわけではない。都会から一歩離れた土地は、静寂を染み込ませ、無限の空間と透明な空気、初めて触るような物質感、言葉に表せない不安、俯瞰的な眺めなどの様々な表情を我々に見せる。そういった土地に、フェラーズは愛情を抱くのである。広がる大地の静寂は、彼の絵に魔力を与える。我々は、作品に対する知覚を研ぎ澄ましその奥へ奥へと入っていく。へらなど使って制作された絵画のマチエールに、私たちは神秘的な親密さ感じる。視線は、絵画の細部に惹きつけられ、まるでリズムとカオスとが口論するのをためらうかのような痕跡に滑り込む。と、同時に不規則なレリーフに注意をひきつけられ、灰と影で満たされた亀裂の中に入り込む。作家が好むモチーフは、失われた土地に偏在する、沸き立った形や、そこに現れた鮮やかな色彩であろう。
最新のフェラーズの絵画は、ダンテの「神曲」を彷彿させるような、暴風雨や火災の損傷で、荒廃した土地のイメージを与える。それは、痛ましく崩壊した物質の寄せ集めで、その色は、琥珀、黄褐色と、金がまるで地獄から脱出して、新しい夜明けを待っているかのようなである。
ぼろぼろに傷つけられた肉体に苦しんだ土地をイメージした絵画は、ここでは、激しい残り火と溶解金属の姿に化した。作家は、この絵画シリーズのために、通常の大理石の粉以外に、他の物質、例えば、ブロンズの粉末や、軽石を砕いたもの、または、より目先の変わったしわくちゃになったプラスティックや、金網の破片、そしてもっと珍しいもので、ユーカリの黒い樹皮を使った。結果的に野蛮な爆発の色や、地球の火事の悲嘆さを表現することに成功した。
フェラーズは、私たちが推測するような単純な地球への愛を語っていない。普段私達が見ない大地の姿の魅力を探し求めている。それは例えば、放棄された露天掘り鉱山の吹きさらしの砂漠、溶岩流の表皮の燃焼、開口部で、氷が形成するときの痙攣で固まった土地などである。これらは、常に芸術家にインスピレーションを与える。彼が感じる土地は、残酷さと快楽と、苦しみと喜びと、生と死の二項対立のいつも突きつきつけてくる。
略歴
- 1942年
- ブラジル生まれ
近年の個展
- 2011
- ギャラリー アキエ・アリチ (パリ/フランス)
- 2010
- シャトー・ド・ボープレ (エクス・アン・プロヴァンス/フランス)
- 2009
- LD&Co (パリ/フランス)
- 2008
- モネガスク国立委員会 (モナコ)
- 2007
- メゾン・フランス (リオデジャネイロ/ブラジル)
- 2006
- クレディ・フォンシエ・ド・モナコ(モナコ)
- ガレリア・ド・ラルゴ (マナウス/ブラジル)
- 2005
- オテル・ド・パリ (モナコ)
- 2004
- ヴィスマラ・アルテ (ミラノ/イタリア)
- エスパソ・カルチュラル・フルナス (リオデジャネイ/ブラジル)
- 2003
- アレド (モナコ)
- 2002
- バルカロール (プランガン/スイス)
- ムーヴイン (モナコ)
- 2001
- シャトー・ド・ボープレ (エクス・アン・プロヴァンス/フランス)
- 1998
- ギャレリア・ヴィラ・リゾ (リオデジャネイロ/ブラジル)
- 1997
- エスパソ・カルチュラル・ド・ラ・ポスト (リオデジャネイロ/ブラジル)
- 1996
- ユロピエンヌ・デザール (パリ/フランス)
- 1995
- ギャラリー・カフェデザール (ポルト/ポルトガル)
- エスパス・ポワソンドール (リオン/フランス)
パブリックコレクション
- 2002
- ホテル・ティアラ (リスボン/ポルトガル)
- マナウスピナコテーク(マナウス/ブラジル)
- 郵便博物館 (リオデジャネイロ/ポルトガル)
- 2009
- シャトー・モンロワイヤル (シャンティイ/フランス)
- 2001
- ローマ・シェラトンホテル(ローマ/イタリア)
- 2000
- ホテル・ラ・バルカロール (プランガン/スイス)