古川 博崇
展覧会コンセプト
今回の展示では、作品にある作者が伝えたい世界、 シチュエーションをそのまま観者に伝えるような作品ではなく、 観者に幾通りもの世界、シチュエーションを想像させ、 観者によって一つ一つ違った作品の世界が生まれる、そんな作品を目指しました。作品には男か女か分からないデフォルメされた子供達が登場します。 子供というと無垢で小さくて可愛いイメージがあります。 そんな既成のものと違った子供を描くことで、不気味さと、「なぜ」という考えを生ませ、 またそれを取り巻く不思議な風景との関係からもよりその世界を観者に何通りもの想像をさせ、 一つ一つ違った世界が生まれるのを狙いました。
プロフィール
古川 博崇 (ふるかわ ひろたか)- 1987年
- 愛知県生まれ
- 2006年
- 名古屋芸術大学美術学部絵画科洋画コース入学
- 現在
- 四期生
作者のコメントの通り、この作品たちを観る人にさまざまな想像を与える世界が描かれています。例えば、写真でもあげている、ぬいぐるみの豚と子どもが机に向かい合っている絵。向かい合っているにも関わらず、子どもの視線は違う方向へ向けられている。ぬいぐるみとの豚は子どもの大きな瞳とは対照的に目は糸を使ったXで表されている。机の上の茶色い点、よく見れば虫の死骸のようだ。落ち着いた色使いの中にも微妙なグラデーションが多用されている。
このように、一つの作品からもそれぞれ観る人が物語を作り上げられそうな世界が広がっています。それと同時に、生の画面に向かって感じたことは、隅から隅まで一定のテンションを保って画面を作り上げているということです。作品のコンセプト、描かれているモチーフもオリジナリティがあり、興味深くありますが、それと同時に確かな技術と丁寧さが彼の作品からは感じられます。不思議で少し不気味な世界を描きながらも、どこか安心して観ることができるのは、このおかげではないでしょうか？
このことは、画面に直接向かい合わなければ感じられません。ぜひギャラリーまで足をお運びください。
（スタッフより）
