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「阿弥陀堂の怪人」作品コンセプト

私は滋賀県、安土にある浄厳院（じょうごいん）という寺院の

僧侶の長男として生まれ、24才の時には父のように自分も僧侶となりました。

浄厳院は織田信長によって安土城とともに創建されたものであり、

織田信長の肖像画などを含む多くの文化財を所蔵しています。

今回の作品展のタイトル「阿弥陀堂の怪人」は、

「魔王」と称され恐れられた織田信長を、私なりに「怪人」と呼んだものです。

私の作品のテーマは「無常」です。

全ては滅びるが故に美しいというのが日本の伝統的な価値観でありますが、

私の美のルーツもここにあります。

古い仏像にある「ひび」をみると、「ひび」のあるそのままの姿が美しいと

感じます。

そこで私は安土桃山風の華やかな表現を求めると同時に、

それが滅んでいくプロセスを強調するため、オブラートに作品のイメージを

プリントしています。

繊細なオブラートの性質によって、作品の表層に「ひび」や「はがれ」が

生じます。

昨年、経済や社会の急激なシフトを体験し、人は大きな変化の中にあります。

それは希望だけでなく時に不安や、そして妬みを引き起こします。

私は決して、安定した生活が滅ぶことを望んでいるわけではありません。

ただ、繁栄と滅亡、光と闇、完成と崩壊などにおけるバランスにこそ、

宇宙の真理があるのではと思います。

私の作品が物事にとらわれず、変化を受け入れる感覚を呼び覚ますもの

であって欲しいと願います。

1980　滋賀県安土町生まれ

2002　京都市立芸術大学　美術学部版画専攻卒業

個展

2008 「ほとけのかおも」　ぎゃらりかのこ　(大阪)

2009　「琳派線」　画廊　編　(大阪)

2010　「A Sense of Evanescence」 IMALY FINE ART

　　　　　　　　　　　　　　　(ニュージャージー州アメリカ)

グループ展

2009　「緑展」　スペース御蔵跡　(大阪)

2009　「“Golden Memories”金色の記憶」　raven studio＆ gallery

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(フィラデルフィア市アメリカ)

2010　「Exchanges:Ithaca/Osaka」 The InkShop PrintMaking Center

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(　ニューヨーク州アメリカ)

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