浦辺佳奈枝 展

 パネルに鉛筆画の作品。動物奇人を描く。群を抜くデッサン力を武器にして、自分の思い通りに画面を作っている。そして、必要のないものは、何も描いていない。


 頭部は、羊、馬、牛、バッファローなど、人間に愛玩されない「家畜」。身体は、当世代の女性や男性の衣服を描いている。膝下まであげたスカートをはいている女子高校生、胸元にキャミソールがみえ、ざっくりしたスカートの女の子。ユニクロで買ったパジャマを着た子供。
 背景は、白、又は黒で、マット状態に仕上げられている。作品の中に社会状況を持ち込みたくない、という作家の考えからである。
 しかし、その背景は、一点一点よく考えられている。画材を使って漆喰のように凹凸を出したもの、鉛筆で丁寧に塗り込まれ「闇」のように感じられもの、黄みがかった白いもの、などひとつと同じものがない。

大学院修了当時から作品のテーマは変わっていない。しかし、動物人の頭部や背景が少しずつ変わってきている。頭部は、屍骸を連想させる骸骨状態のものが増え、背景はわずかなから描かれるようになってきた。また、動物奇人のポーズに動きが増えてきた。

 屍骸は魂が既にあの世に行っている。「いのち」あったものが蘇ってきた印象を与える。それが、現代の衣装をつけて生きているかのように描いている。復活の意味もあるが、その割には、その生命の力が随分がぼんやりして、明日にでもあの世に戻ってしまいそうである。彼らはこの世に魅力を感じていないのであろうか。

 作品全体の表情は物憂げである。どの顔も、目が斜め下のほうをぼんやり眺めていて、強い意識を感じさせない。儚い(はかない)印象が作品の中にある。

 昨年から、パリのギャラリーでグループショーがあり、その後パリのオークションにからも声がかかり、作品を出した。中堅作家として活動の幅を広げつつある。


略歴



1976年
東京生まれ

1999年
 山本鼎展版画展大賞展

2001年
東京芸術大学大学院版画科修了

2000年
 大学版画展 (買上げ大賞)

2002年
 日本版画協会展(新人賞)

2002年
6回 ハンガリー現代版画展 招待作家

2002年
版画の祭典 (鳥取県知事賞)

2003年
販の思考、版の手法 2003展

2003年
現代版画 NAGOYA



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