gallery ami-kanoko

テーマ:「諸行無常」

この現象世界のすべてのものは生滅して、
とどまることなく常に変移している。
荘厳な仏像でさえ、長い時を経ると、
肌はひび割れ、金がかさぶたのように剥落し、
黒ずむ。
しかしながら、それがかえって美しく
感じられ、ここに私の美的感覚のルーツがある。

「金色のかさぶた」作品コンセプト

私は滋賀県、安土にある浄厳院（じょうごいん）という寺院で生まれ育ち、

僧籍を取得しています。

浄厳院は織田信長によって安土桃山時代に創建されたものであり、

仏教のみならず、キリスト教など他の様々な文化財も所有しています。

作品のテーマは「諸行無常」です。

これは、「この現象世界のすべてのものは生滅して、とどまることなく

常に変移している」ということです

荘厳な仏像でさえ、長い時を経ると、肌はひび割れ、金がかさぶたの

ように剥落し黒ずみます。

しかしながら、それがかえって美しく感じられ、ここに私の美的感覚の

ルーツがあります。

作品にはオブラートを用いており、その上に絵の具で描画したり、デジタル

プリントしたりする方法を考案し、制作しています

オブラートは非常に繊細であり、必ずひびやはがれが生じますが、私はそこに

自然の摂理を感じます。

オブラートは通常、服薬用や菓子の包装材として使われています。

しかし、オブラートの原料であるでんぷんは、水彩絵の具の主原料（展延材）

としても通常用いられます。

また、オブラートは本来、キリスト教の儀式などで、キリストの身体（や教義）

のメタファーとして食される薄い煎餅（パン）のことです。

薬用（菓子用）のオブラートはこれがドイツで医療に用いられたのを経て、日本

で改良されたものです。

さて、釈迦は諸行無常の理由を「現象しているもの（諸行）は、縁起によって現象

したりしなかったりしているから」と説明しています。

私の作品も、絵の具やパソコンと、食べることや生きることと、病むことや死ぬことと、

釈迦やキリストと、織田信長や家族と、そして私とあなたと何かの関係性によって、

とどまることなく常に変移しています。

日本はこれまで経験したことのないような大災害に見舞われました。

常にあるかのような日々が、瞬く間に崩れ去る現象を前に戸惑いを隠せませんが、

これらの作品の中に、心を落ち着かせられるほんの少しの光があればと願います。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　・・・・・・・作者・・・・・

略歴

1980　滋賀県安土町生まれ

2002　京都市立芸術大学　美術学部版画専攻卒業

個展

2008 「ほとけのかおも」　ぎゃらりかのこ　(大阪)

2009　「琳派線」　画廊　編　(大阪)

2010　「A Sense of Evanescence」 IMALY FINE ART

　　　　　　　　　　　　　　　(ニュージャージー州アメリカ)

2010　「阿弥陀堂の怪人」　GALLERY AMI＆KANOKO

グループ展

2009　「緑展」　スペース御蔵跡　(大阪)

2009　「“Golden Memories”金色の記憶」　raven studio＆ gallery

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(フィラデルフィア市アメリカ)

2010　「Exchanges:Ithaca/Osaka」 The InkShop PrintMaking Center

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(　ニューヨーク州アメリカ)

GALLERY AMI & KANOKO

勝山信隆展　「金色のかさぶた」

「金色のかさぶた」作品コンセプト

略歴

GALLERY AMI & KANOKO

勝山信隆展 「金色のかさぶた」

「金色のかさぶた」作品コンセプト

略歴

勝山信隆展　「金色のかさぶた」