白い布に見出すもの
眠りのなかで見た夢の記憶は
やがて時間が経つにつれ、曖昧なものでしかなくなる
そしていつか、夢なのか事実なのかさえもわからなくなる
夢と現実の境界
記憶の断片
見えない輪郭
布に付着する残像
肌と触れていたかすかな形跡だけが
「そこにあった」ことをつなぎとめている
わたしはそのシーンを再生してゆく
----池田奈穂の不思議な布空間----
布の柔らかな素材の世界を作っています。直接キャンバスに描かれた絵画の世界とは対象的に、包まれているような錯覚に陥る展覧会です。頼りなげな感覚を持つ人もいるでしょう。しかし、作品がふんわり柔らかいのでかえってみる人を引き込んでいきます。正面右手の大きな作品は、作家が日常使っている寝具の柄をトレースし、PCにスキャンしてとりこみ、それを加工して転写シートで真っ白な布に写したものです。作品の布の上に一枚薄い膜のような布が掛かっていて、作品をうっすらとぼやかす役目をしています。
その他の作品の布柄は、作家が直接手で描いています。
池田奈穂 / Ikeda Naho
- 1980
- 京都府生まれ
- 2004
- 京都造形芸術大学 染織コース卒業
- 2006
- 京都造形芸術大学大学院 芸術表現専攻修了(MA)
- 2007~
- 名古屋芸術大学 テキスタイルコース技術員
個展
- 2005
- 「池田奈穂展」/neutron/京都
グループ展
- 2004
- 「KYOTO ART ANNUAL」/京都造形芸術大学高原校舎/京都
- 「アートが発信する装い」/ギャラリーにしかわ/京都
- 「混沌から躍り出る星たち」/スパイラルガーデン/東京
- 「Visible bodies-clothes」/VOICE GALLERY/京都
- 2005
- 「染織表現の汎用性」/マロニエ/京都
- 「着生芸術-美術と服の展覧会」/京都芸術センター/京都
- 2007
- 「WEARABLE TEXTILE」/Art&Design Center/名古屋