後評  第2回 「評論を書くことを考えてみる。」 

「評論を書くことを考えてみる。」会の第2回目が終わりました。司会者の上倉先生、寄稿者の大学生の皆さん、作家の皆様、お疲れ様でした。
 
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第2回 「評論を書くことを考えてみる。」   
------ 作品と作品との比較-----
 共催  大阪大学文学部美学研究室
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 1Fのホワイトキューブが満員になるほどの多数のご参加を頂きました。ありがとうございました。アーティスト、大学生、美術の先生、評論に興味のある詩人、など様々な方がお集まり下さいました。

 

 今回は、司会の上倉先生の誘導の中、まず全員の自己紹介から始まりました。
 
 「面が割れたところでさて・・・」と、まずは、映画評論家の吉田馨さんの西村のんき展への評論文がご本人から読み上げられました。

 今回この会の冒頭で問題になったことは、この文章がどういった人を対象に書かれたかということです。文章を書く場合、読み手を想定するか否かということでしたが、出席者の編集者で文筆家の江利川氏は、「僕は読みてを想定して書きません。」と。吉田馨氏の評論文は、大阪日日新聞の関西文化探訪に掲載するという目的で書かれていました。

 「会場は二階。我が家みたいな階段をトントンと上がると、右手に真っ黒な通路が口をあけていた。いつもは普通の和室なのになんやこれは?」に続く文章が書いた本人の口から朗読された。柔らかい吉田氏の声が会場に響く。
 作品の様子や内容、会場での作家とのやり取り、会場に入ったときの印象などが、言葉でうまく表現されている。「見る」世界を言葉で表現していることに真新しい印象を持ち、会場は水を打ったように静かであった。あらためて、自分の見た展覧会がこういうものであったのか、というような念押しのような感じあって、作品の理解が深まっていく感じがしました。

 評論文の読み上げのあと、「文章の内容を作家がどう思うのか、これでよいか。」と、司会者から疑問が投げかけられ、作家を中心にした討論が始まった。映画評論を手がけている吉田氏の評論。親切で細やかで1200字の制限された字数の中、展覧会の内容が読み手に伝わるように出来上がっていました。


 次に4回生、米田千佐子さんの評論。書くために、搬入から作家に密着。5時間手伝いました。そのせいでしょうか、反って作品に密着しすぎて、作家と共感しすぎている印象を受けました。しかし、作品と大事にしていること、作家がこう伝えたいのだろう、ということを上手に丁寧に書いてくれている印象です。
 「この評論は、西村さんの作品をたくさんの人に見に来て欲しいという気持ちで書きました。」と、言った上で評論を読み上げが始まりました。

 その結びの一行である。
「-------- この作品の中で是非長居して欲しい。日のある時間と夜と。背をかがめてこの空間に入り、闇の中で何かの気配を感じる体験を。そして、最後に闇とも光ともつかない狭間でうっとりとした高揚感と静けさを自分の内に相持つ体験を、じっくり時間をかけて自らのものとして欲しい。------」
 まだ来ぬお客に自分の気持ちを素直に書き、是非一緒に体感し、共感したいという気持ちに満ち溢れていました。まだ評論とは言い難い文章ではありましたが、作家にとっては非常に嬉しいものでした。評論にならなくとも、読んだ人をギャラリーに、美術の現場に誘うには充分な文章であったように思います。

 さて、評論の会参加の方かた二人に厳しいご指摘がありました。
 「この作品で最も大事なことは、”闇”です。もっと、そのことを掘り下げて書いて欲しい。」と。

 確かに、二つの評論分は、正確に作品の内容を語ろうとするあまり、文章の中で視点があちこちに飛び、肝心の作家のテーマがなおざりにされている嫌いがありました。作家が最も大事にしていることを掘り起こし、その点を評論家が掘り下げるべきだというのがご意見でした。
 尤もなこと。
 議論が深まっていきました。


 
 会は、劉氏の評論文に移った。
 たどたどしい日本語を話す劉氏。韓国語を全く話せない書き手。作品を鑑賞して、作家とのインタビューのあと、2つの評論文が出来上がりました。

 この評論に関しては、修士課程の学生、博士課程の学生が挑戦したが、二人とも非常に苦労したように見受けられます。
 それは、作家がいる文化圏を私達が理解していない事によります。
 お隣にある国であっても、韓国の文化を理解する機会は少なく、作家の描いたものをどうすくい上げたらいいのか、戸惑ったようです。

 川井遊木(M2)の評論が本人の手で読み上げられた。

 →続く。


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