長野順子さんからのお手紙

 群馬県高崎市在住の銅版画作家の長野順子さんからお手紙が届きました。私信のようなもので、HPに掲載するようなものでは本来ありません。今回の自身て直接被災はされませんでしたが、被災地に近くアーティストとして現在の状況、こらからのことを落ち着いた目線で見つめられています。

 皆さんに読んでいただければと思います。

 2011/4/29着

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 新緑の美しい季節になりました。菜の花にショカサイの紫、ボタンや藤の花の甘い香りと野山は、生き生きと彩られています。

 ご心配を頂きましてありがとうございます。3/11は、実家(お寺)のアトリエにいました。震度5強の揺れが3分程度つづいたでしょうか。机の下で不安に襲われつつも、生き延びる方法を考えていました。家具が倒れることはありませんでしたが、墓石や石燈籠が全体の1/3ほど倒れたでしょうか。瓦屋根が壊れたり、土砂崩れがあったりもしましたが、東北の被災地に比べれば、実害は少なくて住みました。ただ、3月いっぱいはガソリン不足、流通の悪化による物資不足、計画停電、そして、ほんの一部の野菜が多少放射線量を超えたため、風評被害。観光地の客不足と余波は絶えず押し寄せて来る感じです。

 
  

 それでも、私達は被災者と支援する立場にあります。しっかりと生活をして、長く続く復旧復興の為に経済をまわしていかなければなりません。

 報道への対応も人それぞれですが、私は目を背けず出来るだけの事実を冷静に見つめ、今私達が体験していることを忘れないようにしたいとおもっています。そして、自分にできることを出来るときにやって行きたいと思います。群馬県内にも多くの被災者の方々が一時避難してきています。私達が前向きに生きていかないと、全てを無くした方々に手を差し伸べることができません。

<中略>

 今週でT-BOX(東京、銀座のギャラリー)の個展は終了しますが、予想外に作品が動いているので少々驚いています。一人一人のお客さんの在廊時間も長く、じっくりと鑑賞して下さいます。理由は様々でしょうが、多少なりとも作品に触れることで気持ちが和らいでくれるなら、作家として作家にしかできないことが出来ているのかもしれません。その分、作品に対する責任は重大です。

 関東大震災の直後、芥川龍之介がこう記しています。「芸術は生活の過剰だそうである。・・・・しかし、人間が人間たらしめるものは、常に生活の過剰である。僕らは、人間の尊厳のために生活の過剰を作らなければならぬ。過剰を大きな花束にしなけらばならぬ。」2011/4/7朝日新聞 余録

 長くなりましたが、関西こそ元気でぎらぎらしてください。経済を動かしてください。東北の復興を支援してください。阪神淡路大震災を経験した方々の経験を生かして、動いてください。とてもありがたいことです。復興の生き証人は力強いと思います。(略)

 中島由記子様
                                長野順子
 


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